アフターコロナの空港はこうなる!令和4年度国交省予算概算要求から航空行政に関する部分を解説します

日本の航空行政を担う国土交通省が、令和4年度予算概算要求の内容を発表しました。

事業官庁である国交省は、施策と予算はセットとなりますので、この概算要求資料を読めば、日本の航空行政が何を考え何をしたいのかがわかってきます。

そこで、今回はこの資料から、航空局に関する部分、とりわけ飛行機を利用する人に関わる部分についてピックアップして解説と自分なりの推察と意見を書けたらなと思います。アフターコロナの空港のことなんかも、これを読めば少しわかってきます。

予算概算要求とは?

概算要求とは、毎年8月末に各府省が「次年度の予算これだけくれ!」というのを財務省に出すものです。このあと、財務省による査定を経て、クリスマス頃に次年度の予算の原案ができ、2〜3月で国会で審議され決定するものです。

なので、概算要求資料を読むと、各府省が来年度にやりたいこと、やろうとしていることが見えてくるんですね。

国交省の概算要求資料が公表

今回国交省は8月26日に概算要求の概要を公表しました。詳細は以下のページでご覧いただきます。

この資料、これ全部読むとけっこう大変ですよー。ついでに言うと、国交省のサイトってやたら重いので、ダウンロードにめっちゃ時間がかかるんです。

なので、全体を御覧いただきたい方は上記リンクからと思いますが、今回、私がそこから航空局に関する部分を中心に抜き出して少し解説もできればと思います。

航空局の概算要求は約4,000億円

国交省の予算要求のうち、航空局に関する予算は、空港整備に関する特別会計が3,919億円、一般会計で74億円となっています。合計すると約4,000億円となります。けっこうな予算規模ですね。

国交省航空局には様々な仕事があり、管制業務などにについても読んでいて面白いのですが、例えば高高度の管制を福岡に一本化するとかそういう話をしても、飛行機を利用する人からすれば、それで何が便利ななるの?というのがありますので、この記事では、飛行機に乗る人、旅行が好きな人、空港が好きな人に興味がありそうな部分をピックアップして書いてみたいと思います。特に空港部分について書ければと思います。

羽田空港は空港アクセス鉄道整備や内際乗り継ぎのための費用を計上

羽田空港はいろいろと新たな設備を今後作っていくので、その準備費用が計上されています。特に鉄道アクセスについてはしっかりとみていきたいと思います。

まずは羽田空港の国際競争力増加に向けて、JRが検討している羽田空港アクセス新線です。

現在、羽田空港からJRに乗る場合、京急で品川にでるか、モノレールで浜松町までいき、そこからJR各路線に乗り換えることになりますが、今後、貨物線の路線を活用しつつそれを羽田空港まで延伸し、直接結ぶ鉄道を整備し、東京駅、新宿駅、新木場駅などから乗り換えなしで羽田に向かうことができるようになります。

この整備に関する費用計上がなされています。各種資料などをみると、2029年開業を目標に、まずは東京駅に直通する計画となっています。個人的には新宿方面への早期の開通を期待したいところですね。

また、京急線では、終点の羽田空港第1・第2ターミナルから200メートル延伸し、ここに引き込み線をつくる計画があります。

今は羽田空港駅についたらその場で折り返し運行していましたが、これだとホーム上で折り返し作業を行う必要があるため、一定時間ホームに車両を止めておく必要があります。そのため、これ以上の増便は難しいです。

これを、一度引き込み線にいれた後、折り返して品川・横浜方面行の列車として運用することを京急は目指しています。これをやることにより、今までよりも増便が可能になるほか、座席指定列車なども運用しやすくなります。

現在でも羽田空港ー成田空港直通の「アクセス特急」が現在ありますが、現在はロングシートタイプの車両での運用です。引き込み線ができれば、座席の向きを直したりすることができるので、指定席タイプの運用ができると思いますし、おそらく、やると思います。

成田空港は第3ターミナルの拡充へ

羽田空港の国際線路線の増加は著しいですが、成田空港も引き続き大事な空港です。主要路線こそ羽田に譲ることになりますが、羽田で賄いきれない路線やリゾート路線、そしてLCCに貨物と、成田空港の役目は落ちるどころか、コロナさえ終われば今後も伸びていくでしょう。

ここ数年で、高速離脱誘導路の整備や空港発着時間帯の拡大により空港の発着の容量を増やしてきました。昔は成田空港は6時から22時までの運用でしたが、現在は24時まで便数制限なしで離着陸することが可能となっています。これは旅客便のみならず貨物便にも非常によいことだと思います。

また、将来的には成田空港に3本目の滑走路もできることになっています。また、現在のB滑走路は2,500メートルしか滑走路がないため超大型機の離発着が困難ですが(といってもA380もB747も、そう多くは飛んでこないでしょうが…)、これを3,500メートルになるように延長する事業もすすめています。この整備によって、3,000メートル級3本という、国内外のメガ空港と同レベルの滑走路を備えることになります。

このように、今後LCCの市場成長により成田空港の役割は羽田空港が拡張しても維持されるとみられ、抜本的な能力増強策として、成田空港では第3ターミナルの増築事業が運営会社主体で行われるとともに、国交省としても、第3ターミナルの税関、検疫、出入国施設などの空港関連施設を整備することになっています。

伊丹空港・関西国際空港は目新しい事業なし

伊丹空港と関西国際空港については、国交省としては特段目新しい内容はありません。

伊丹空港は無事にリニューアルが完了しましたし、両空港とも淡々と航空保安施設の更新費用が計上されています。

中部空港は需要拡大のための検討へ(いつまでも検討…)

中部空港は、海上空港なので24時間運用できる空港なんですが、あまりニーズがないためコロナの前から活用されていません…。

航空局からは、経常的に予算要求する設備の更新費用のほか、中部圏の航空需要の更なる拡大と現施設のフル活用を図るための検討を実施するための予算を計上しました。こんな予算を計上しなきゃいけないのが悲しいですが…。

というかこの検討費用毎年計上してるんですが、どうするんですかねセントレア…。位置づけが難しい空港です…。

福岡空港の第2滑走路建設

コロナ前には国内線・国際線ともどんどん増えていて日本有数の混雑空港と化した福岡空港ですが、コロナ後の需要回復を想定して第2滑走路の建設に向けた準備を着々と進めています。

2025年3月の第2滑走路完成に向けて、官民合計総額1,600億円を投入していくことになります。なんすごい先のことだと思っていましたが、あと3年半でできるんですね。

ただこの設計だと2本の滑走路が210メートルしか離れていないので、運用が難しそうで、そこまで便数増えないんじゃないかと思いますが…。

那覇空港はデッキ延長で車の混雑緩和へ

那覇空港は2020年に第2滑走路が完成し、自衛隊と民間の共用空港のネックであった自衛隊のスクランブルなどがあっても、比較的安定して離着陸ができるようになりましたし、今後の需要が増えても、ある程度耐えられる形になりました。

次の那覇空港の整備は周辺環境です。那覇空港は観光客の増加に伴い、バスやタクシー、レンタカー送迎車等による構内道路の混雑が深刻化しています。3階の国内線ターミナルの前、車がいっぱいとまっていますよね…。

これについて、国内線ターミナルビル3階前面の高架道路(ダブルデッキ)を国際線ターミナル前面まで延伸することで混雑解消を図ります。

新千歳空港の誘導路整備

新千歳空港は雪が多い空港で、冬には航空機の欠航や遅延が頻発してしまいますが、要因の一つとして、除雪車両や駐機場へ引き返す航空機の導線が確保されていないことがあるそうです。

issy
天気だけでなく、そんなところにも要因があったんですね。

そこで、来年度も引き続き誘導路複線化の整備を行い、冬期における航空機の欠航や遅延の回避・軽減を図ります。

離島路線の持続性問題は九州で共同コードシェアが始まる

経営基盤の弱い離島路線を運航する航空会社をいかに持続可能な交通インフラにするかという問題があります。2018年の3月に国交省の検討会が、以下の5社について、「合併か統合を模索すべき」という提言がなされました。

  • 北海道エアシステム(北海道・JAL系)
  • ANAウイングス(北海道/九州・ANA系)
  • 天草エアライン(九州・JAL系)
  • オリエンタルエアブリッジ(九州・ANA系)
  • 日本エアコミューター(九州・JAL系)

実際、利用者が少ないこれらの航空会社は、協同によって経営を安定化させようという取り組みがあります。

このうち九州は取り組みが進んでおり、2019年度から国や自治体、JAL、ANAと地域航空会社で様々な検討をしてきています。そして、2022年10月から、ANA、JALと天草エアライン(AMX)、オリエンタルエアブリッジ(ORC)、日本エアコミューター(JAC)の5社で共同運航を開始する方針です。

現在、ANAはORCと、JALはJAC・AMXとそれぞれ共同運航を実施していますが、今後ANAとJALの垣根を越えた連携、コードシェアがなされることになります。

来年からは、ORCにANAだけでなくJALの便名がついて、JALのサイトで福岡までJAL、福岡からORCを利用する五島列島までのチケットが購入できたり、JACにANA便名がついて、ANAのサイトで鹿児島までANA、鹿児島からJACを利用する屋久島便などが購入可能になります。

まとめ

国交省の概算要求資料から、来年以降の航空行政の展望をみてみました。コロナさえ終われば、羽田空港のアクセス強化、成田空港の滑走路とターミナルの増設など、首都圏空港は次なるステージへと足を踏み入れています。

また地域拠点の福岡空港、那覇空港、新千歳空港でも発着数の増加に向けた取り組みなどが行われていますね。中部はちょっと残念な形で、「テコ入れ」として予算計上していますが…。

ちょっと怖いのがコロナ禍のため、こういったコロナ後の投資にどれだけ財務省が理解を示すかというところ。もちろん予算の無駄遣いはいけませんが、ぜひとも航空局には予算を確保してもらい、実現を図ってもらいたいものです。

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